日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
研究期間 : 2020年04月 -2024年03月
代表者 : 朝比奈 英夫; 藤田 洋治; 池原 陽斉
『万葉集』自体の伝本と、万葉歌を採取するかな文献との間に見られる個々の歌本文の対応や異同を精密に調査し、それを具体的に明示する校本を作製することを目的にして研究を進めた。
当初計画では、2020年度に万葉集次点本のうち片仮名訓本の調査と平安時代私家集『家持集』伝本の調査、2021年度に『万葉集次点本対校表』の作成と平安時代私家集『人麿集』・『赤人集』・『家持集』諸伝本の本文の調査、検討及び校本の作成を行う予定であった。
コロナ感染症拡大の影響で、研究の進行に遅延を来たしたため、当初計画のうち、
万葉歌人の名を冠する私家集(『人麿集』、『赤人集』、『家持集』)の本文調査と校本の作成準備に注力することとした。
現在、『人麿集』各系統の入力と校正を進めた。具体的には、『私家集大成』の四類本の本文を調査を終了し、この他の伝本の調査を続行している。調査方法は、『冷泉家時雨亭叢書』所収の善本を活用し、より古態をとどめた本文による、資料的価値の高い校本の作成を目指す。
当初計画のうち、具体的な研究の進捗状況の確認のため、代表者・分担者間の連絡を密に行ない、京都や東京で研究会を開催し、調査内容についても相互参照して、以降の方針を策定することとしていたが、対面での研究会開催が困難なため、研究会の開催は見送った。研究対象と作業内容が遠隔通信に馴染まない性格を持っているので、コロナ感染症などの社会情勢を見極めて、研究開催を実現する予定である。