SGA性低身長症児と家族のGH療法をシームレスに支える看護支援プログラムの開発
日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
研究期間 : 2018年04月 -2021年03月
代表者 : 田中 さおり; 茎津 智子; 伊織 光恵
平成30年度は、まず国内外のGH治療を受ける子どもと家族に関する文献検討を行った。GH治療はSGA性低身長症以外に成長ホルモン分泌不全性低身長症やターナー症候群等でも行われ、身長を改善するのみならず子どものQOLの改善にも効果的である。しかし毎日の治療は子どもと家族にとって負担となり治療には痛みも伴うことから、怠薬や治療を中断するケースもみられる。国外の報告では、怠薬防止や治療継続の意欲向上には、子どもと家族が自ら注射器を選択することが効果的であると報告されている。国内の報告では、GH治療の実施者は母親が多いことや治療継続に伴い怠薬が見受けられるといったGH治療を受ける子どもと家族の治療実態に関する報告はあるが、子どもや家族がGH治療をどう受け止め治療に取り組んでいるのか、成長する過程でその受け止めや取り組みに変化はあるのかといった、子どもと家族の体験や思いに言及した報告は少なかった。
そこで当初は、GH治療適応疾患を対象に治療開始年齢、GH治療実施の主体者、自己中断の有無、怠薬の有無等について質問紙調査より治療実態を明らかにすることを計画していたが、文献検討の結果をもとに再検討し、GH治療を受けている子どもと家族の療養行動の現状を面接調査より明らかにすることに再計画し、研究計画書を立案した。
立案した研究計画書を所属機関の研究倫理委員会に提出し、研究実施の承認を得て、現在、主に小児科クリニックを中心に研究協力者の紹介を依頼している段階である。